野地板とスレート瓦やガルバリウム鋼板などの屋根材を支えるために屋根に張る板の総称です。
屋根の葺き替え工事は屋根材を新しく張り替えるだけではなく、屋根の野地板も新しく張り替えます。そのため、見積もり項目に記載されるため「野地板って何?」と疑問に感じる方も少なくありません。
そこで、この記事では野地板について詳しく解説します。
屋根の構造における野地板の役割や野地板の種類、メンテナンス方法まで野地板に関する基礎知識について具体的に解説します。
この記事を読むだけで屋根の構造や屋根葺き替え工事に対する理解が深まるため、ぜひ参考にして頂ければと思います。
目次
1.野地板とは
野地板とはスレート瓦や日本瓦、トタンといった屋根材の下地板です。野地板は垂木(たるき)と呼ばれる屋根の躯体(骨組み)の上に設置され屋根の土台を形成します。
野地板は耐水性能やシックハウス症候群などの観点から構造用合板と呼ばれるJIS規格によって規定されている野地板が使用されます。
屋根の葺き替え工事では野地板の上にルーフィング(防水シート)を葺き、日本瓦、スレート瓦、トタンといった屋根材を施工します。
屋根葺き替え工事で使用される構造用鋼板は板厚12mmの製品が使用されます。
2.野地板の種類
野地板には下記の3つの種類があります。
- 杉板
- 野地合板
- 耐火野地合板
野地板の種類によって、特徴や耐久性が異なるためそれぞれ、具体的に見て行きましょう。
2-1.杉板
杉板と文字どおり杉材を板状にしたものです。高度成長期以前は、杉板を使用した野地板が主流で築年数50年以上日本瓦の住宅ではまだ杉板が使用されている住宅も多いです。
昔の瓦は形が均一ではなく、瓦下に雨水が侵入することが頻繁にありました。また、ルーフィングシートも施工する技術がなく、性能も不十分でした。
そのため、乾燥しやすい杉板が野地板に使用されるのが普通でした。しかし、現在ではルーフィングの技術も発達し、構造用合板や耐火合板などの杉板よりも性能の良い野地板が流通するようになり、現在ではほとんど使用されなくなりました。
2-2.野地合板(構造用合板)
野地板の材質に合板が使用されているものを野地合板と言います。合板には構造用合板やコンパネなどの製品があります。現在、普及している野地板は構造用合板が主流です。
杉板の場合は、杉の幅よりも広い野地板はありませんが、野地合板はベニア板の一枚板を張り合わせて、作れているため1枚の野地板では広い面積を施工することができます。
そのため、杉板と比べて雨漏りの危険性も少なく、施工効率も上がるため、施主様、施工業者にとってメリットのある野地板です。
杉板の場合は、杉の木の幅よりも広い野地板はありませんが、野地合板は、複数の木板を張り合わせで作りますので、一枚の野地合板が広くでき、雨漏りの危険性も少なく、施工効率も上がります。まさに、施主にとっても施工業者にとってもウィンウィンで、大きなメリットを享受できる建材です。
2-3. 耐火野地合板
火災の際に30分以上耐えられる野地板を耐火野地合板と言います。
建築基準法で定められている、「準防火地域」「防火地域」では耐火耐火野地板の使用が義務付けられています。
耐火野地板で使用されるのは「木毛セメント板」と「木片セメント板」の2つの種類が一般的です。
2-3-1.木毛セメント板
木材をリボン状に削り取った木毛にセメントを混ぜ、板状に圧縮成型した準不燃材です。
加工しやすく、軽量で断熱性・吸音性などに優れています。その密度により、普通木毛セメント板と硬質木毛セメント板の2種類があります。
2-3-2.木片セメント板
比較的短い木片にセメントを練り合わせ、板状に圧縮成型した準不燃材です。
その密度により普通木片セメント板と硬質木片セメント板の2種類があります。木毛セメント板と同様に加工性がよく、軽量で断熱性・吸音性などに優れています。
3.野地板の費用相場
野地板の種類 | 単価相場 |
杉板の野地板 | 750/ ㎡ |
野地合板(構造用合板) | 900/ ㎡ |
耐火野地合板 | 2,600/ ㎡ |
※費用は変動します |
野地板(構造用合板)の1枚当たりの価格は900円〜1,000円ほどになります。建坪30坪前後の屋根の葺き替え工事を施工する際の、野地板の施工価格は15万円〜30万円ほどになります。
耐火野地合板は構造用合板と比べて、材料費が高額になり野地板の施工費用も10万円〜15万円ほど割高になります。
4.野地板のメンテナンス方法
野地板のメンテナンス方法は、「張り増し」と「張り替え」の2つの方法があります。
野地板のメンテナンスは屋根材とルーフィング(防水シート)を剥がさないと施工することができないため、屋根の葺き替え工事のタイミングでメンテナンスを行います。
この前提を踏まえて野地板の2つのメンテナンス方法について見て行きましょう。
4-1.野地板の張り増し
野地板の張り増しとは、既存の野地板が杉材であったり、日本瓦からガルバリウム鋼板へ葺き替える際に、施工されます。
野地板を張り増しすることで、屋根の重量は重くなりますが、構造的に強くなるため、地震や台風に対しても強くなります。
4-1.野地板の張り替え
既存の野地板が水分を吸収し、腐食している場合に行う方法です。野地板の腐食を放置すると全体に広がってしまうため、腐食した野地板を撤去して新しい野地板に交換します。
また屋根の躯体(骨組み)の垂木も腐食している場合は、その部分も交換します。
まとめ
いかがでしたか?野地板についてご理解いただけたでしょうか?
野地板には種類があり耐火性や耐用年数が異なります。
屋根の葺き替え工事の際はしっかりと野地板の種類を理解して適切な製品を選択することが重要です。
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