軒天とは?3つ役割と事前に理解しておくべき5つの劣化症状を全解説

軒天

「軒天って屋根のどの部分なの?」そう疑問に感じて軒天について調べていませんか?

軒天は外壁塗装の付帯部工事として見積書に記載されることも多く、付帯部塗装の中でも施工面面積が広いため、住宅における軒天の場所と種類について理解しておくことが重要です。

この記事では外壁・屋根塗装のなどのリフォーム工事や新築住宅などを購入する際に軒天について最低限知っておくべき基礎知識について解説します。

「軒天とは屋根のどの部分なのか?」「住宅における軒天の役割は何か」軒天の種類や劣化症状まで、具体的にまとめました。

これから外壁塗装や新築住宅の購入を予定している方にとって非常に役に立つ内容なので是非、最後までお読み頂き参考にして頂ければと思います。

1.軒天(のきてん)とは

屋根の軒天の場所 屋根の軒天の場所

軒天とは住宅の外壁から外側に伸びている屋根の裏側の天井を指します。

屋根の外壁から突き出した部分を専門用語で「軒(のき)」と言います。その「軒」の天井ということで、「軒天」という名称がつきました。

軒天は「軒裏(のきうら)」「上げ裏(あげうら)」「軒天井(のきてんじょう)」「軒裏天井(のきうらてんじょう)」とも呼ばれています。

軒天は破風板(鼻隠し)や雨樋と同じ、住宅の付帯部分に属しており、外壁・屋根塗装の際は外壁と屋根とは分けて見積もり項目が分けられるのが一般的です。

軒天は一般的に「ベニア合板」や「ケイカル板」が使用されており、塗装によって防水性を確立しています。紫外線の影響で劣化するため、外壁・屋根塗装のタイミングで再塗装を行うのが一般的なメンテナンス方法です。

また、軒天は屋根の最下部に位置しているため、屋根の雨漏りの症状が出やすい箇所になります。
軒天部分が湿っていたり、雨染みが広がっている場合、屋根の雨漏りが発生している可能性が高いため、屋根修理の専門業者に点検をしてもらうことが重要です。

2.軒天の役割

住宅における軒天の役割は3つあります。

  • 建物の美観を整える
  • 火事の延焼を防ぐ
  • 屋根裏換気

それぞれ、具体的に見ていきましょう。

2-1.建物の美観を整える

軒天は建物の美観を整える役割があります。

軒天が無い住宅もありますが、下から屋根を覗くと屋根裏の野地板や垂木な屋根の内部構造が丸見えになってしまうため、建物の美観性が損なわれます。

また、屋根の内部構造が剥き出しになっている状態は屋根の劣化速度を速めてしまうため、決して良いとは言えません。

このように軒天は建物の美観と整えると同時に、屋根の内部構造を保護する役割があります

2-2.火事の延焼を防ぐ

軒天は火事の際に延焼を防ぐ役割があります。

火事の火の手は下から上に向かって延焼します。軒天が無いと屋根裏まで一気に火の手が延焼し、屋根があっと言う間に焼け落ちてしまいます。

軒天があることで屋根の延焼の拡大を防止してくれる役割があり、軒天には一定基準以上の防火性能が求められます。

準防災地域の木造二階建ての建物では、耐火時間30分以上の防火性能が義務づけられています。

このように軒天には火事の延焼を防ぐ役割があります。

2-3屋根裏換気

軒天に屋根裏換気口を取り付けて屋根の通気性を向上させる役割があります。

これはオプションではありますが、軒天に屋根裏換気口を取り付けることで屋根の通気性が良くなり、屋根裏の内部結露を防止することができます。

軒天に小さな通気穴が空いている有孔板(有孔ボード)を使用したり、軒裏換気口を取り付けることで、屋根裏に溜まった湿気を外部に排出することができます。

このように軒天に屋根裏換気口を取り付けることで、屋根の通気性能を向上させる役割があります。

3.軒天の種類

現在、軒天材に使用される材料は下記の4つが主流です。

  • ベニア合板
  • ケイカル板
  • 石膏ボード
  • 金属

軒天材の種類によって耐久性や機能が異なるため、それぞれ見て行きましょう。

3-1.ベニア合板(化粧合板)

ベニア(木製)の軒天

ベニア合板は木製の軒天材です。化粧合板と呼ばれる木目がプリントされたベニア合板が使用されます。

ベニア合板とはベニア板を何層にも重ねた強化板です。30年以上まではベニア合板の軒天が主流でしたが、耐久性が低く、耐火性もそこまで高くはないため、現在ではケイカル板が主流になっています。

ただし、他の軒天材と比べて材料費が安いため、工事費用を安くする場合、ベニア合板を使用します。

ベニア合板はベニア板を接着材でくっつけているため、経年劣化でベニア板が剥がれる劣化症状が発生します。

3-2.ケイカル板(ケイ酸カルシウム板)

ケイカル板の軒天

ケイカル板とは、消石灰(水酸化カルシウム)、珪藻土(けいそうど)、石綿(アスベスト)を水で練り合わせ素材です。(現在ではアスベストが含有されていない製品が流通しています。)

軽量でありながら耐久性、耐火性に優れているため、現在主流となっている軒天材です。

特に、「燃えない材料」として法廷不燃材に認定されており、耐火性に優れているのが特徴です。

ケイカル板には表面に通気口が空いている「有孔タイプ」もあり、屋根の通気性を確保できるのも大きな魅力です。

また、タイル調や木目調などデザイン性に優れているのも特徴で、和風・洋風問わず様々なデザインの住宅にも柔軟に施工できます。

3-3.石膏ボード(エクセルボード)

石膏ボードの軒天

石膏ボートはスラグと呼ばれる鉱物に石膏を混ぜた素材です。ケイカル板と同様に法廷不燃材に認定されており、耐火性に優れているのが特徴です。
ただし、石膏ボードは内装材として使用されるのが一般的で、耐水性が低く、価格も高いため、軒天材としてあまり普及していません。

3-4.金属板

ガルバリウム鋼板の軒天

ガルバリウム鋼板やアルミスパンドレルなどの金属素材です。ガルバリウム鋼板やアルミスパンドミルは錆びにくい金属で耐久性が高いのが特徴です。また、非常に軽量で耐火性に優れているため、近年、軒天材として普及するようになりました。

4.軒天の劣化症状

軒天は経年劣化で様々な劣化症状が発生します。

軒天の不具合や劣化症状にいち早く気がつき、適切な修理を実現するために、ここからは軒天の劣化症状について具体的に見ていきましょう。

4-1.色褪せ

軒天の色あせ

屋根や外壁と比べて軒天は紫外線が当たりにくく、劣化速度が遅いのが特徴ですが、色褪せが発生します。

外壁・屋根塗装のタイミングで軒天も塗装をすれば問題ありませんが、経年劣化で塗料が剥がれるようになるので注意が必要です。

4-2.雨染み

軒天の雨染み

軒天に雨染みができている場合、屋根から雨漏りが発生している可能性が高いです。

軒天は屋根の最下部に位置しているため、屋根の内部に侵入した雨水が、軒天の内側に到達し、軒天部分に雨染みなって現れます。

このように軒天部部分に雨染みが広がった場合は、軒天の不具合ではなく、屋根全体の不具合が発生している可能性が高いので絶対に放置せずに専門業者に点検を依頼することが重要です。

4-3.剥がれ

軒天の剥がれ

軒天の剥がれはベニア合板に多い劣化症状です。表面のベニア板だけが剥がれるのが一般的ですが、剥がれを放置すると軒天材ごと剥がれるようになるため、早い段階で修理をすることが重要です。

4-4.カビ・コケ

軒天のコケ・カビ

軒天の内部結露や雨水が適切に排水されていない場合、軒天が常に湿った状態になるため、カビやコケが繁殖するようになります。

この状態を放置すると、軒天の内部から腐食して、軒天材が抜け落ちてしまうことがあるのでカビやコケを発見したら、絶対に放置せずに修理をするようにしましょう。

4-5.欠落・穴開き

軒天の穴開き

コケやカビなどの劣化症状を放置したことで軒天材が腐食して穴が開いたり、欠落するようになります。

軒天部分に穴が開いてしまうと、鳥や動物、昆虫などが入りこむ可能性があり、衛生的にも良くはありません。

5.軒天の修理・メンテナンス方法

軒天は塗装によって防水性能を確立しているため、外壁・屋根塗装のタイミングで再塗装によるメンテナンスが必要です。また、不具合が発生した軒天の修理は「部分張り替え」や「重ね張り」で修理をするのが一般的です。

ここからは軒天のメンテナンス方法と修理方法について具体的に見て行きましょう。

5-1.軒天の塗装

軒天材は塗装が劣化をする10年前後を目安に再塗装を行うのが基本です。軒天単体で塗装工事を行うと、塗装費用に足場費用が上乗せされるため、施工費用が高額になります。

そのため、軒天の塗装は足場を設置する外壁・屋根塗装とセットで行うことで費用対効果の高いメンテナンスを実現することができます。

また、軒天の色を黒や暗い色いすると、建物全体が圧迫感のある印象になります。そのため、フレーやベージュなどの淡い色を選ぶとバランスの良い配色になります。

5-2.軒天の修理

重ね張り

軒天の劣化が軽度で下地として機能できる場合、補強を行った上で、新しい軒天ボードを重ね張りします。

既存の軒天材を撤去しないため、撤去費用や廃棄費用が発生しないため安く修理をすることができます。

張り替え

既存の軒天材が著しく劣化している場合、既存の軒天材を撤去して張り替えます。既存の軒天材の撤去費用と廃棄費用が発生するため、重ね張りと比べて費用が高額になります。

また、古いケイカル板はアスベストが含有されているため、廃棄費用が割高になります。

軒天の修理方法は実際に現地を見なければ分かりませんが、結露や雨漏りが集中する一部分だけが、著しく劣化していることがあります。

このような場合、弊社では状況を見ながら、重ね張りと張り替えを組み合わせて可能な限り、安く確実な修理を実現するように努めています。

6.軒天の修理・メンテナンスの費用相場

修理・メンテナンス内容 単価相場
ベニア合板の重ね張り 5,000/m
ケイカル板の重ね張り 6,000/m
ケイカル板の張り替え(既存撤去・処分含) 8,000/m
ケイカル板の塗装 8,000/m
※外壁塗装・屋根葺き替え工事とセットで施工した際の単価相場です。
※単価相場は劣化症状や不具合の状況によって変動します。

軒天の塗装は外壁塗装とセットで施工をした場合、10万円〜15万円ほどが中心価格帯になります。

一方で、修理の場合は劣化症状や状況によって大幅に異なりますが、修理費用が20万円を超えることはほとんどありません。

部分補修であれば数万円、複数の箇所を修理をしたとしても10万円〜15万円ほどで修理ができるケースが多いです。

まとめ

いかがでしたか?軒天についてご理解頂けたでしょうか?

住宅における軒天の役割について初めて知った方も多いと思います。

軒天は屋根にとって重要な役割があります。

屋根の雨漏りが症状として発生しやすい箇所のなので、軒天の不具合は放置せずに見つけ次第専門業者に修理を依頼するようにしましょう。

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