パミール屋根の不具合を理解して損失を最小限に抑えるリフォーム方法

劣化したパミール屋根

パミール屋根は1996年〜2008年まで販売されていた、建材メーカー大手のニチハの屋根材です。

ノンアスベストの屋根材として新築住宅で広く流通した屋根材ですが、施工後10年〜15年ほどで「層間剥離」や、「ヒビ割れ」が発生するのが特徴です。

屋根塗装の際に自宅の屋根材がパミールだったと気がつくケースも多く、施工後10年程度で屋根の葺き替えを迫られる施主様も少なくありません。

そこで、この記事ではニチハのパミール屋根について具体的に解説します。

パミール屋根に発生する不具合や劣化症状や、パミール屋根だった場合の対処方法など、パミール屋根による損害を可能な限り回避できるメンテナンス方法について具体的に解説します。

1.屋根材のパミールとは

パミールは建材メーカー大手が製造、販売しているスレート系の屋根材です。

1996年から2000年までの12年間、流通した屋根材ですが、施工後10年〜15年の間に「層間剥離」や、「ヒビ割れ」などの劣化や不具合が発生することが多く、不具合報告や劣化報告が消費者から相次ぎました。

パミール屋根はアスベストが含有されていない、ノンアスベストの製品です。パミールが発売された1996年は屋根にアスベストの使用が禁止されていた時期で、このアスベストの規制に伴いパミールが発売されました。

ノンアスベスとのスレート系の屋根材はパミールの他にも「クボタ(現ケイミュー)」や「松下」といった大手建材メーカーからも販売されていましたが、「層間剥離」や、「ヒビ割れ」などの不具合が顕著に現れたのがニチハのパミールです。

このような不具合が多発するニチハのパミールですが、メーカー側は製造責任を否定しています。屋根本体の「不具合は経年劣化によるもの」というスタンスを崩しません。

スレート系屋根材のメーカー保証は5年程度です。パミール屋根は屋根塗装やソーラーパネルの設置などの屋根のメンテナスやリフォームの際に発覚するのが一般的です。

そのため、メーカーの保証対象外である5年を経過していることが多く、泣き寝入りする施主様が圧倒的に多いのが現状です。

2.パミール屋根の不具合・劣化症状

パミール屋根に発生する不具合や劣化症状は「層間剥離」「釘の腐食」の2つです。それぞれ、具体的に解説します。

2-1.層間剥離(ミルフィーユ現象)

パミール屋根の層間剥離

層間剥離とは屋根材の表面が剥がれる不具合でパミール屋根の代表的な不具合です。

パミールは基材(セメント)と塗装の二層構造になっていますが、雨などの水分がパミールの基材(本体)に吸収され、乾燥後に硬化した結果、基材と塗装が分離され、剥がれたり、浮き上がった状態になります。

パミール屋根の層間剥離はミルフィーユ現象とも呼ばれており、本物のミルフィーユのように手でひっかくだけで簡単に剥がれが生じます。

通常のスレート瓦ではこのように層間剥離が発生して、屋根材がミルフィーユ状になることはほとんどありません。

屋根を施工後、10年〜20年程度でこのような状態になった場合は、間違いなくパミールの屋根の可能性が高いので代表的な劣化症状として理解しておきましょう。

2-2.釘の腐食

パミールのラスパート釘の腐食

パミール屋根はラスパート釘と呼ばれるパミール専用の釘で屋根材を固定しています。このラスパート釘の頭が腐食して無くなり、パミール屋根がズレたり、落下する不具合が発生します。

ラスパート釘の腐食はパミール屋根本体の層間剥離と併発しているため、パミール屋根を点検をする際に、ラスパート釘の腐食も確認することが重要です。

3.パミール屋根の対処方法

ニチハのパミールは消費者や建築業界では不良品という認識をしている人も多いですが、メーカーはあくまでも経年劣化が原因による不具合という姿勢を崩しません。そのため、パミール屋根本体の不具合は有償でのメンテナンスが必要になります。

一方で、ラスパート釘の不具合に関してはニチハが問題を認めており、お客様相談窓口を設置しています。しかし、明確な保証内容が確立されている訳ではなく、お客様相談窓口に問い合わせても「ハウスメーカーに相談してください」とたらい回しにされてしまったケースも存在します。

このようにパミール屋根は不具合に関して対策や対処方法が確立されていないため、「どうすれば良いの?」と途方に暮れてしまう人も少なくありません。

パミール屋根に関するニチハの対応についてまとめました。

3-1.アスファルトシングル屋根材「アルマ」への葺き替えを勧められる

10年〜15年と一般的なスレート瓦よりも早期に重度な劣化症状が発生するニチハのパミールですが、早期に劣化したパミール屋根の代替え措置としてアスファルトシングル材「アルマ」への葺き替え(カバー工法)を提案されます。

アスファルトシングルとは日本ではあまり普及していない屋根材ですが、アメリカでは主流となっている屋根材です。

施工単価が安く、メンテナンス性が高く、ルーフィングシート(防水シート)素材でなため非常に軽量です。そのため、パミール屋根に負担をかけないため、ニチハからパミール屋根のリフォーム工法としてアスファルトシングルによるカバー工法を提案されます。

しかし、アスファルトシングルは耐用年数(耐久性)が低く、葺き替え後20年〜30年ほどで再度、屋根リフォームが必要になります。

そのため、アスファルトシングルによる屋根リフォームはリフォーム費用はもちろん、将来的なメンテナンスプランも含めて他の屋根材と比較をしながら決めることが重要です。

3-2.住宅を建てたハウスメーカーへの相談を勧められる

住宅を建てたハウスメーカーに相談を勧められることがあります。このような場合、通常のリフォーム工事と同じような提案がされるのが一般的です。

このようなハウスメーカーのリフォーム工事は下請け、孫請けと複数の下請け会社が間に入るために、リフォーム費用が高額になります。

本来であれば必要の無い屋根リフォームなので、損害を最小限に食い止めるためにも、高額すぎるハウスメーカーでの施工はあまりオススメできません。

3-3.ニチハのサポートには頼らない選択肢がベスト

パミール屋根は住宅産業から撤退してしまった、三井ハウスや野村ホームの住宅にも使用されていました。そのため、現在ではサポートが終了しているため、ハウスメーカーに相談できない施主の方も多いです。

このような場合、自分で屋根リフォーム会社を探す方もいらっしゃいますが、パミール屋根の不具合を低価格で解消するベストな選択と言えます。

パミール屋根はスポンジのように雨水を吸収して、屋根の内部構造であるルーフィング(防水シート)や野地板にダメージを与えます。

このような状態のまま屋根を放置すると、雨漏りの原因となり屋根だけではなく、建物全体をダメにしてしまう恐れがあります。

そのため、ニチハのサポートを期待せずに、屋根リフォームのタイミングとして割り切って適正価格で屋根リフォームができる業者を探すことが重要です。

4.パミール屋根のリフォーム方法

パミール屋根はカバー工法か葺き替えによって屋根材を新しく張り替えるのが基本です。パミール屋根は層間剥離が発生するために、屋根塗装によるメンテナスはNGです。

ここからはパミール屋根の適切なメンテナンス方法について見て行きましょう。

4-1.【修理方法1】カバー工法

パミール屋根の劣化が軽度である場合はカバー工法でメンテナンスをすることができます。

カバー工法とは既存のパミール屋根の上に新しい屋根を被せる工法ですが、屋根材の劣化が軽度な場合、カバー工法の下地として利用できます。

一方で、パミール屋根の劣化が進行して、層間剥離が激しい場合は、新しい屋根材を乗せる土台として利用できないために葺き替えが必要になります。

カバー工法の屋根材に耐久性の高いガルバリウム鋼板が使用されるのが一般的です。

4-2.【修理方法2】葺き替え

パミール屋根の劣化が激しい場合は、カバー工法が施工できないため、パミール屋根を撤去して新しい屋根材に張り替える「葺き替え」による屋根リフォームが必要になります。

既存の屋根材を撤去しないカバー工法と比べて施工費用が割高ですが、屋根を新しくするのでパミールの不具合の問題を根本解決することができます。

また、耐用年数が40年〜50年と長く、メンテナンスフリーのガルバリウム鋼板に葺き替えることで、屋根塗装の必要が無くなり、メンテナンス費用も節約することができます。

まとめ

いかがでしたか?パミール屋根についてご理解いただけたかと思います。

パミール屋根は通常のスレート瓦よりも早く不具合が発生します。屋根塗装によるメンテナスが行えずに、カバー工法か葺き替えによる屋根のリフォームが必要になります。

そのため、製造メーカーやハウスメーカーの「保証」や「無償修理」を期待してしまいますが、経年劣化による不具合として取り合ってもらえません。

「メーカーが無償で修理をするまで待つ」という方もいらっしゃいましたが、屋根の不具合は雨漏りの原因となり、屋根だけではなく建物全体をダメにしてしまう恐れがあります。
そのため、パミール屋根の不具合は「屋根リフォームの時期」と割り切って早期に解決することが重要です。

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