「雨漏りで屋根瓦の葺き替えを検討しているけど、費用はいくらかかるの?」「どんな屋根材に葺き替えるのが効果的なの?」「工期は何日かかるの?」など屋根瓦の葺き替え工事について分からないことだらけで不安に感じていませんか?
屋根瓦は日本瓦の他にセメント瓦やモニエル瓦などの種類があり、それぞれ耐用年数(耐久性)が異なります。瓦の種類に応じて施工可能な葺き替え工法や葺き替えのタイミング異なることから、自宅の屋根瓦の種類を把握することが重要です。
また、雨漏りで屋根瓦の葺き替えを提案された場合であっても、業者によっては部分補修で修理が行えることがあるので、葺き替えが必要な屋根瓦の不具合や劣化症状について理解を深めておくことが重要です。
そこで、この記事では屋根瓦の葺き替え工事の基礎知識について解説します。
屋根瓦の種類に応じた、適切な葺き替え時期や効果的な屋根材の選び方や、屋根瓦の葺き替え工事の費用相場、適正価格を実現できる優良業者の選び方などを具体的にまとめました。
この記事を読むだけで、屋根瓦の葺き替え工事で失敗しない事前知識が得られるので是非参考にして頂ければと思います。
1.屋根瓦の種類と葺き替えの必要性
屋根瓦は「日本瓦」「セメント瓦」の2つの種類がありますが、それぞれ耐用年数(寿命)が異なります。
葺き替えが必要な屋根の劣化症状や時期が異なるため、瓦の種類について理解を深めておくことが重要です。
まずは、自宅の瓦の種類に応じた適切な葺き替え時期を見極めて、適切なメンテナンスを行うため、日本瓦とセメント瓦の違いについて見て行きましょう。
1-1.日本瓦とセメント瓦の違い
日本瓦とセメント瓦は材料が異なるため表面の質感で判断できます。
日本瓦は粘土を材料にしているため、陶器のように質感が滑らかなのが特徴です。一方で、セメント瓦はセメントと砂を材料にしているため、ザラザラとした質感で塗装がされているのが特徴です。
洋風住宅で普及しているスパニッシュ瓦(S型)やフランス瓦(F型)の多くがセメント瓦ですが、日本瓦(粘土瓦)の製品も普及しているため形状だけで判断することができません。
このような場合は過去のメンテナンスの有無を確認し、過去に屋根塗装を行ったことがある場合は、セメント瓦になります。
また、日本瓦は経年による劣化の進行が緩やかで、コケやカビが発生することはありませんが、セメント瓦は屋根塗装を行わないと、カビやコケが生えるようなるので、劣化症状でも判断できます。
日本瓦とセメント瓦の見分け方を表でまとめたのでご覧ください。
内容 | 日本瓦(粘土瓦) | セメント瓦 |
---|---|---|
耐用年数(寿命) | 80年〜100年 | 30年〜40年 |
表面の質感 | 滑らかで丸みを帯びている | 角ばっていてザラザラしている |
塗装の必要性 | なし | あり |
劣化症状 | なし | コケ・カビが発生する |
1-2.日本瓦の葺き替えの特徴と時期
日本瓦は屋根を軽量化して建物の耐震性を向上させるため、ガルバリウム鋼板に葺き替えるのが一般的です。
日本瓦は耐用年数が80年〜100年と非常に長期的で屋根材自体を葺き替える必要はありません。
しかし、屋根の内部のルーフィングシート(防水シート)が劣化をするため、「葺き直し」によるメンテナンスが必要です。
日本瓦で葺き替えの事例が多い雨漏り修理も、雨漏りを解決するだけであれば新しい屋根材に葺き替える必要はありません。
このように日本瓦は建物の耐震性能を向上させるため、ガルバリウム鋼板に葺き替えるのが主流です。
【日本瓦の葺き直しとは】
葺き直しとは既存の瓦を再利用する葺き替え工法です。通常、屋根の葺き替え工事は既存の屋根材を撤去して新しい屋根材に張り替えます。しかし、葺き直しは既存の日本瓦を撤去して、屋根内部の野地板やルーフィングシートを交換し、撤去した日本瓦で再度、屋根を葺き直す工法になります。葺き直しは耐久性に優れた日本瓦ならではの葺き替え工法です。
1-2.セメント瓦の葺き替えの特徴と時期
セメントは瓦は耐用年数の限界である、30年〜40年を目安に葺き替えが必要です。
セメント瓦も日本瓦と同様に、耐久性が高いガルバリウム鋼板に葺き替えるのが一般的です。
セメント瓦は現在、生産が中止されており、市場に流通していないためにセメント瓦以外の屋根ジアを選択する必要があるので注意が必要です。
2.屋根瓦の葺き替え工事の費用相場
屋根瓦の葺き替え工事の費用相場 | |||
---|---|---|---|
葺き替え工事の種類 | 30坪(66㎡) | 40坪(87㎡) | 50坪(108㎡) |
日本瓦(セメント瓦)→日本瓦 | 100万円~180万円 | 130万円~230万円 | 160万円~290万円 |
日本瓦(セメント瓦)→スレート瓦 | 100万円~160万円 | 130万円~210万円 | 160万円~260万円 |
日本瓦(セメンと瓦)→ガルバリウム鋼板 | 80万円~140万円 | 100万円~180万円 | 130万円~230万円 |
※切妻屋根の総二階の住宅を基準に算出しています。 ※形状や劣化症状によって相場価格は変動します。 |
屋根瓦の葺き直し工事の費用相場 | |||
---|---|---|---|
葺き直し工事の種類 | 30坪(66㎡) | 40坪(87㎡) | 50坪(108㎡) |
日本瓦→日本瓦 | 60万円~100万円 | 80万円~120万円 | 100万円~140万円 |
※切妻屋根の総二階の住宅を基準に算出しています。 ※形状や劣化症状によって相場価格は変動します。 |
屋根瓦の葺き替え工事は導入コストと耐用年数のバランスが良いガルバリウム鋼板に葺き替えられるのが一般的です。
ガルバリウム鋼板を使用した屋根の瓦の葺き替え工事の中心価格帯は、平均的な建坪が30坪前後の住宅で80万円〜140万円が相場価格になります。
和風住宅は瓦屋根を前提に設計されているために美観性を考慮して、既存の瓦と同じ瓦を使用するケースも多いです。
日本瓦は他の屋根材と比べて材料費が高額なため、中心価格帯が100万円〜180万円とガルバリウム鋼板と比べて20%ほど高額になります。
このように屋根瓦の葺き替え工事は使用する屋根材によって費用相場が異なるので、葺き替え費用や将来のメンテナンス費用などの費用対効果や建物の美観性を含めて慎重に検討することが重要です。
新築住宅で広く普及しているスレート瓦は他の屋根材と比べて耐用年数が短く、屋根塗装などのメンテナンス費用も発生するため現在の屋根リフォームではほとんど使用されなくなりました。
3.屋根瓦の葺き替えの屋根材の選び方
葺き替え工事の費用と将来的なメンテナンス費用、耐用年数を比較して総合的に費用対効果を算出した結果、最も費用対効果の高い屋根材は日本瓦です。
しかし、日本瓦は導入コストが高く、地震に弱いという弱点もあるために、葺き替え工事で屋根材を選ぶ際は、屋根材の特徴を理解し、得られる効果をしっかりと理解することが重要です。
屋根瓦の葺き替えで比較されることの多い、ガルバリウム鋼板と日本瓦について見て行きましょう。
3-1.ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は金属性の屋根材で、屋根瓦の葺き替え工事だけではなくスレート瓦や日本瓦の葺き替え工事でも主流となっている屋根材です。
耐用年数が40年〜50年屋根材の中でも長期で導入コストも安価なことから、費用対効果の高い屋根材として近年、爆発的に普及するようになりました。
瓦からガルバリウム鋼板に葺き替えることで、屋根の重量が1/6ほど軽くなるため、建物の耐震性能が向上します。
また、ガルバリウム鋼板はメンテナンスフリーの屋根材で屋根塗装の必要が無いために、将来的なメンテナンス費用と手間が発生しません。
建物の耐震性の向上やメンテナンスの効率化を最優先する場合はガルバリウム鋼板がオススメです。
和風住宅をガルバリウム鋼板に葺き替えることで建物の美観性が損なわれるのを心配される方も多いですが、瓦形状のガルバリウム鋼板も商品化されています。扱える施工店が少なく、まだまだ一般には普及していませんが、耐震性と美観性を両立したい方は検討してみても良いでしょう。
3-2.和風住宅の美観性を維持する場合は日本瓦を検討する
和風住宅の美観性を優先する場合は日本瓦も含めて検討しましょう。
日本瓦の最大の弱点は屋根材が重く、耐震性能が低いことですが、現在は防災瓦と呼ばれる地震に強い日本瓦も普及しています。
防災瓦は軽量な粘土(基材)を使用することで従来の瓦よりも50%も軽量で、固定方法もガイドライン工法と呼ばれる安全基準を満たした構造になっています。
このように美観性を優先し、日本瓦を導入する際は防災瓦も含めて検討するようにしましょう。
4.屋根瓦の葺き替え工事の工程
屋根瓦の葺き替え工事は、下記の工程で作業が進みます。
- 既存瓦の撤去(瓦おろし)
- 野地板(コンパネ)の設置
- ルーフィングシート(防水シート)の設置
- 屋根材本体の設置
- 屋根板金の設置
屋根の葺き替え工事の内容を理解するために、屋根の葺き替え工事の工程について解説します。
【工程1】既存瓦の撤去(瓦おろし)
既存の瓦を撤去する工程です。
【工程2】野地板(コンパネ)の設置
野地板とは屋根の土台となる木材板です。コンパネ(コンクリートパネル)と呼ばれるコンクリートの型枠用の木材板を設置します。
【工程3】ルーフィングシート(防水シート)の設置
ルーフィングシートは屋根の二次防水として重要な役割があります。屋根の内部に雨水が侵入してもルーフィングがしっかりと機能していれば建物の内部に雨水が侵入することはありません。
このようにルーフィングシートは屋根の防水性能を左右する重要な部材ということを理解しておきましょう。
【工程4】屋根材本体の設置
屋根材本体を設置します。ガルバリウム鋼板が使用されるのが主流です。
【工程5】屋根板金の設置
屋根本体の設置が完了したら最後に、屋根の板金を取り付けたら屋根瓦の葺き替え工事は完了です。
5.屋根瓦の葺き替えの見積もり時の注意点
屋根瓦の葺き替え工事は高額な工事でありながら相場価格が一般に浸透していないため、ぼったくり被害などの金銭トラブルが多いリフォーム工事です。
自宅の屋根の葺き替え工事の適正価格を判断するために、屋根の葺き替え工事の見積もり時に注意するべきポイントについて解説します。
5-1.見積書の内訳と単価相場を確認する
見積書を確認する際は必ず「施工項目」と「単価相場」を確認することが重要です。
合計金額が記載されているだけの「一式見積もり」では適切に費用が見積もられているかを確認できないからです。
例えば、屋根の葺き替え工事はガルバリウム鋼板の屋根材を交換するだけではなく、屋根の土台となる野地板(コンパネ)やルーフィングシート(防水シート)も交換します。
見積もり価格が相場価格の範囲であっても、屋根の土台となる野地板(コンパネ)を粗悪なものを使用したり、ルーフィング(防水シート)のグレードを下げる悪質業者も存在します。
このように表面的な見積もり価格では適切な製品が使用されているのか判断がつかないために、見積書を確認する際は、「施工項目(製品名や工程名)」が記載されていることを確認するようにしましょう。
5-2.大幅な値引きや即決を促されても鵜呑みにしない
「今、契約してくれたら80万円値引きします」「このままだと雨漏りがするからスグに葺き替えが必要です」と大幅な値引きや即決を促されても絶対に鵜呑みにしないようにしましょう。
「そんなに安くなるの?」とお得感を感じてしまいますが、もともとの見積もり価格が高額である場合が多く、営業が契約を結ぶための営業トークの可能性が高いからです。
「このままだと家がダメになる」や「雨漏り発生する危険があります」という契約や工事を急がす業者も強引に契約を結ぼうとする意図があるので注意が必要です。
このように大幅な値引きや即決を促されても絶対に鵜呑みにせずに、信頼できる他の業者に再度現地調査を依頼する方が安全です。
まとめ
いかでしたか。屋根瓦の葺き替え工事の基礎知識についてご理解頂けたかと思います。
瓦の種類には日本瓦やセメント瓦があり葺き替え工法が異なります。
そのため、瓦の種類を理解して適切にメンテナンスを行うことが重要です。
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